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弁護士法人心 川越法律事務所

交通事故の損害賠償における評価損とは

  • 文責:所長 弁護士 水野高徳
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 評価損とは

⑴ 定義

事故直前の当該車両の価格と、修理後の車両価格の差額のことを「評価損」といいます。

⑵ 種類

①技術上の評価損

通常の修理をきちんと行ったにもかかわらず、技術上の限界のより、当該車両の機能や外見について回復不可能の欠陥が残ってしまったような場合、当然その車両価格は下がってしまいます。

この差額を「技術上の評価損」と言います。

裁判実務上このような損害について賠償の対象となることにはほぼ争いは無いようですが、実際、現代の修理技術においてこのような損害が発生することはほとんどないように思われます。

②取引上の評価損

上記のような機能上・外見上の欠陥が残らなかった場合でも、中古車市場においては、交通事故に遭ったことがあるという履歴、いわゆる「事故歴」があるだけで、その自動車の価値は下がってしまうといわれています。

このような場合における事故車両の価値の下落分を、「取引上の評価損」と言います。

⑶ 取引上の評価損における賠償の対象

取引上の評価損については、賠償の対象とすべきかどうか、また賠償の対象とするにしてもどこまでを対象とするべきか、その見解は分かれています。

裁判例を見てみると、賠償の対象とすべき範囲について、明確な一定の基準というものはなく、事例ごとに個別に賠償の対象とすべきかどうかを判断しています(明確な基準の不在)。

大まかにみると、以下のような要素が判断する上で考慮されると考えられます。

・初年度登録からの経過年数

・総走行距離

・事故による損傷部位

・当該車両の中古車市場における人気

・当該車両の購入時の価格

・当該車両と近似する車の中古車市場における通常価格 など

⑷ 経験上の目安

あくまで経験上の目安としてですが、裁判例を大まかに一般化してみると、外国車や人気の国産車では、初年度登録から5年以上経過する、もしくは総走行距離で6万キロ程度を超えると、評価損は認められない、あるいは認められても少額になってしまう傾向にあるようです。

また、それ以外の車種については、初年度登録から3年以上の経過、もしくは総走行距離で4万キロ程度を超えると、同様のようです。

そして、これはあくまで裁判になった場合の概論です。

保険会社との任意の交渉の場合、これよりもさらに条件は厳しくなるように思われます。

2 評価損の算定方法

⑴ 算定方法の種類

ここまで評価損の定義や、裁判上での認定の可否の基準などを見てきましたが、それでは評価損が認められる場合、その金額はどのように算定されるのでしょうか。

裁判例において用いられている評価損の算定方法の種類は以下の通りです。

①減価方式

当該事故車両における事故直前の時価と修理後の時価の実際の差額を評価損として算定する方法。

②時価基準不折敷

当該事故車両の事故直前の時価を基準として、その一定のパーセンテージを評価損として算定する方法。

③修理費基準方式

当該事故車両に、実際に係った修理費を基準として、その一定のパーセンテージを評価損として算定する方法。

④その他

前述の1の⑶で挙げられたような要素を総合的に考慮し、特に基準を示さず評価損の金額を算定する方法。

⑵ よく採られる方法

技術上の評価損については、①の減価方式によるべきことは争いがないようです。

取引上の評価損については、③修理費基準方式に基づいて算定されることが多いようです。

実際、多くの場合、裁判・任意の交渉にかかわらず、ほとんどがこの方式により算定されています。

①や②では、そもそもの時価額の算定につき争いが出ることが多い一方で、修理費については争いにならないことも多く、その簡便性・迅速性・確定性からこの方法がとられることが多いのではないかと考えられます。

⑶ パーセンテージ

では③修理費基準方式をとるとして、どのくらいの割合のパーセンテージで評価損が認められるのでしょうか。

過去の裁判例を見ると、前述の1の⑶で挙げた判断要素を総合的に考慮して、10%~30%程度とするものが多いようです。

ベンツなどの高級外車の場合、この割合を超えるものも散見されています。

保険会社との任意交渉の場合、ここでも裁判例以上に厳しくみられることが多いです。

3 評価損は弁護士法人心 川越法律事務所へご相談ください

ここまで述べてきた通り、評価損については明確な基準がないことから、任意の交渉でも裁判でも、いかに説得的に主張するかが重要となってきます。

特に保険会社が、怪我による賠償や車両の修理費の賠償に比べて、評価損については厳しく見てきます。

評価損も適切に賠償請求されたい方は、弁護士に一度相談されることをおすすめします。

評価損についても、当法人へご相談ください。

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